長時間座っていると腰が痛くなる原因と対処法
「長時間のデスクワークで腰が痛くなってくる」「腰が痛くて仕事に集中できない」「同じ体勢で座っていられない」「整形外科的に腰椎に問題があるわけではないけど腰が痛い」そんな症状があって困ってはいませんか?
その腰痛、早く改善したいと、湿布を貼ってみたり、ストレッチをしたり、痛み止めの薬を飲んでみたり。一時的に良くなっても、また長時間座っていると痛くなる。その繰り返し。
ここでは、その『長時間座っていると腰が痛くなってくる原因について』と、『対処法・予防法について』紹介します。
座っている姿勢は立っている時より腰に負担がかかっている
電車やバスで、高齢者に席を譲ることがマナーとされているように、「座っている方が楽」というイメージが強いと思いますが、実は、座っている姿勢というのは、立っている時に比べて、腰には1.5倍の負担がかかっています。立っている姿勢というのは、上半身の重みは腰だけでなく股関節、膝関節、足関節にも分散されますが、座った姿勢では、腰に上半身の重みが集中します。それだけ、腰にかかる負担は大きくなります。
Nachemson の論文 (1976)の図を改変引用
長時間座っていると腰が痛くなる原因とは?
長時間座ると腰が痛い原因はさまざまです。ヘルニアや感染など、整形外科的に腰椎に異常がある場合。姿勢の悪さが原因の場合。また、長時間同じ姿勢でいることによる腰の筋肉の過緊張が原因の場合。
ここでは、姿勢の悪さと、腰の筋肉の過緊張について解説します。悪い姿勢といえば、猫背です。座っているとだんだんと背中が丸まり、猫背の姿勢になってきます。さらに、PCを操作していたり、制作作業をしていると、それに集中して頭部を前に突き出して、肩に力が入り、肩甲骨は外側に開き、骨盤は後傾し、背中〜肩にかけて筋肉は伸ばされ過緊張の状態になります。この状態が続くと、筋肉は疲労し、コリや痛みの原因になります。
過緊張を解消する対処法とは?
筋肉の過緊張が痛みの原因であることをお話ししてきました。では、その筋の過緊張をとるためには??ここでは、簡単なセルフメンテナンスの方法をいくつか紹介します。
①ハムストリングスのストレッチ
ハムストリングスとは、太ももの裏の筋肉のことです。やり方は、しゃがんで、床に手をつきます。そのまま手は床から離さず、膝をのばして、ハムストリングスが伸びていることを感じます。キツイ方は、足首を持ってもいいですし、ストレッチを感じられれば、完全に膝が伸びていなくても大丈夫です。
②殿部のストレッチ
お尻の筋肉もストレッチします。やり方は、前後に脚を開いた状態で床に座り、前の方の脚は膝を曲げます。後ろ足は伸ばしたまま。お腹を床に近づけるような意識で上体を前に倒し、お尻の筋肉のストレッチを感じます。
(絵が、、ヘタクソでごめんなさい、、、)
③足関節、足裏、足指をほぐす
足関節をぐるぐる回したり、足の裏や、足の指を丁寧に揉みほぐします。
以上、①②③だけでも痛みはかなり解消されるでしょう。さらに、15〜20分のウォーキングもできればなお良いです。
そもそも痛みが出ないからだを創る3つのポイント
腰痛が出る前に、その予防ができた方がいいですよね。そのポイントを3つ紹介します。
①座り方
骨盤の下の部分には、坐骨という骨が存在します。
背筋を伸ばして座って、左右にゆらゆらと上体を揺らした時に、おしりの下でゴツゴツと左右に2カ所当たる部分です。猫背の姿勢では、ゴツゴツ当たらなくなることを確認できるでしょう。座る時は、この坐骨が当たっていることを意識して座りましょう。
また、何か作業する際には、椅子とテーブルの高さにも気を配ります。人間には、作業に適した間合いがあります。これを作業位と呼んでいます。テーブルの高さが高くても低くても肩に力が入り、作業効率が落ちます。肩の力を抜いて作業ができる高さに調節しましょう。
②ちょこちょこストレッチ
PCなど作業に集中していると、だんだんと頭部が前に。眉間にシワが寄りはじめ、視野も狭くなりがちです。そしてその姿勢のままあっという間に3時間!!なんてこともあるかもしれませんね。あまりこんつめすぎず、ちょこちょこ小休憩を挟んで、ストレッチをしたりして、一度姿勢を正すと、腰痛予防にもなりますし、効率も上がります。
③普段から正しい姿勢を創るための正しい知識を
正しい姿勢というと、『背筋を伸ばす』『肩甲骨を寄せる』などの答えが多く返ってきます。いずれも部分的には正解ですが、残念ながらそれだけでは、正しい姿勢を創ることはできません。正しい姿勢は、からだを全体として捉え、統一感をもって創りだします。一度、姿勢に関する正しい理論知識を身につけてみるのもいいでしょう。
痛み止めの薬だけでは、根本的な治療にはならない。
座っていて腰が痛くなる場合、整形外科を受診するほどでもないけど、慢性的に痛いから、市販の湿布薬や、痛み止めで様子を見ているという人も多いと思います。いくら、痛み止めを使って一時的に良くなっても、そもそもの痛みの原因である、筋の緊張を取らない限り、良くなることはありません。また、痛みの背後に、ヘルニアなどの腰椎の器質的な疾患がある場合もありますので、整形受診は一度されるとよいでしょう。
腰痛が改善され、やりたいことに集中できるようになり、さらなる自己実現のために、今回紹介したセルフメンテナンスが役に立てると幸いです。